新しい形の消費者金融
つくるべき目標がはっきりしていた時代ならば、シェア競争だけでよかった。
たとえていうと、天才走者カールールイスに勝つために百メートルランナーを懸命に養成していく。
これがシェア競争だ。
日産は何でもトヨタと競り合い、無理な品ぞろえに走ったおかげで、自動車不況の影響をモロに受けた。
1番手と2番手が同じ戦略をとれば、不況のときのダメージが大きいのは2番手である。
日産はトヨタをライバル視せず、独自路線を歩むべきであっただろう。
ライバル視するには、シェアが開きすぎている。
マーケットーイノベーションとは、四捨五入していえば、さとられないよう上手にカールールイスを水泳の試合に誘導していくようなものである。
次元を変えた闘いに持ち込む。
そのために、既存の尺度で捉えられない人材が、これから必要になってくる。
情報社会の本当の意味とは心と体の満足する商品が求められる情報化というとき、多くの人たちは情報産業社会と情報社会とを混同しているところがある。
実のところ情報社会と情報産業社会とはまったく違う。
通信衛星やコンピュータの発達で世界中がいまや情報社会になっている。
旧ソ連も、東欧も、中国もすべて情報社会である。
中国のホテルではCNNも日本のNHKも見ることができるし、携帯電話も流行している。
韓国の高級マンションには、NHKの衛星放送を受信するためのパラボラアンテナが窓からたくさん出ている。
貧しい国の人々ほど、豊かな国の情報をよく知っている。
しかしこれらの国々は工業社会の段階を越えてはいない。
それどころか、これから工業化社会の真只中に突入していく国が大半である。
これらの国々では情報そのものにまだそれほど社会的値打ちがあるわけではない。
素材・エネルギーに値打ちがあり、人間の労働力に値打ちがある。
知恵、アイデアの部分は、まだあまり必要性がない。
工業社会の次の段階とは、日本やアメリカのように、情報そのものに社会的な価値があり、情報そのものが市場性をもつ社会なのである。
そのことを、だれよりも早く見抜いたのが、梅棹忠夫である。
日本やアメリカの工業が沈滞化し、その代わりに情報産業が発達するのではなく、工業そのものが情報力で蘇っていくのが情報産業社会である。
たとえば、成熟商品のビールでも、ドライや一番搾りなどの情報が市場を活性化させた。
トヨタのセルシオ、三菱自動車のパジェロが、自動車市場の沈滞を打ち破る。
ということは、すべての業界が成熟市場であり、かつ成長市場になるのが情報産業社会なのである。
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